2020年のJプロツアー開幕戦が決定した。
7月23日(祝・木)〜25日(土)の3日間、群馬県みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンター(CSC)で開催される「第54回JBCF東日本ロードクラシック」だ。
宇都宮ブリッツェンのホームである栃木県のお隣、群馬県で開催されるレースということもあり、例年であれば多くのファン・サポーターが応援に駆けつけてくれる群馬CSCだが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大予防の観点から無観客での開催。ファン・サポーターの中にも、長らく待ちわびていたレースを現地で観戦できず残念に思っている人が多いことだろう。
宇都宮ブリッツェンの歴史を紐解いてみても、群馬CSCはメモリアルな場所だ。
2008年に設立されたチームが、初めて臨んだ公式レースが2009年のJサイクルツアー(現・Jプロツアー)第1戦「東日本ロード」だったからだ。そして、そのレースで長沼隆行が見事に優勝。チームとしてもド派手なデビューウィンになった。
また、2012年のJプロツアー第8戦「東日本ロードクラシック」では、チームの発起人であり、この年での現役引退を決意していた廣瀬佳正(現・運営会社取締役)が、アシストとして生きた長い選手人生でプロ初優勝。苦楽を共にしてきた栗村修監督(当時)との熱い抱擁は、観る者の心を打った。
そんな華々しい思い出が残る群馬CSCだが、純粋に戦績だけで見ると、実は宇都宮ブリッツェンにとっては相性が良くないというのが正直なところだ。
勝利数は上記の2勝に加え、昨年のJプロツアー第4戦「東日本ロードクラシック」で岡篤志で勝利を挙げたのみ。わずか3勝にとどまっている。
群馬CSCの1周6kmサーキットコースはざっくりと、スタートして程なくテクニカルな下り、それを終えると上り基調になって心臓破りの坂でピークを迎え、フィニッシュへと向かっていくというレイアウト。レース展開で言うと、序盤から逃げは形成されるものの、最終的にはメイン集団に吸収されて集団ゴールスプリントになることが多いコースだ。ごく稀に、終盤に単独ないし少数で抜け出して逃げ切りという展開もあるが、多くのチームが集団ゴールスプリントを頭の片隅に入れてレースを進めるコースと言って差し支えはないだろう。
ただ、そうは言っても心臓破りの坂をピークとする上り区間の破壊力は、レース距離が長くなればなるほど増していく。重要になるのはレースの流れに乗りつつもしっかりと脚を残し、勝負どころやスプリントのタイミングを見逃さずに動けること。過去の勝者を見ても、実力のある者しか勝利の美酒に酔えないコースであることは間違いない。
だが、そんなコースであっても、宇都宮ブリッツェンは集団待機やゴールスプリントありきでレースはせず、序盤から積極的に仕掛けていき、レースを作ろうとすることが多い。普段からそういった展開を好むチームではあるが、「準ホームレース」の雰囲気を作ってくれる大勢のファン・サポーターの前で、より完璧な勝利を目指そうとする意識が強いのかもしれないと感じている。そして、それがハマらずに勝利を逃す…ということが多い印象だ。
それでも、今年の開幕3連戦も宇都宮ブリッツェンは攻める走りをしてくるだろうと個人的には予想している。例年に比べ短縮されたシーズン、限られたレース数ということもあって、大事に勝利を狙っていきたい気持ちも当然あるだろうが、たぶんそれ以上に自分たちの色を出したい気持ちの方が強いのではないかと思うからだ。
開幕3連戦で宇都宮ブリッツェンがどんなレースを見せるのか、そして、群馬CSC4勝目を挙げることができるのか。
16日後の開幕戦が今から楽しみだ。
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