「明日はダメかもしれませんね。たぶん、崩壊すると思います」
Jプロツアー第4戦宇都宮クリテリウムの終了後、顔馴染みのフォトグラファーに宇都宮ブリッツェンの快進撃を称賛された時、自然とそう答えていた。そう思わせるだけの危うさを、小野寺玲が3連覇を達成した歓喜のレースの裏で感じ取っていたからだ。
[小野寺玲が3連覇となる優勝を飾った宇都宮クリテリウムで、少しずつ崩壊の足音が近づいていた]
今シーズンのJプロツアー開幕戦となった群馬サイクルスポーツセンターでの3連戦から、宇都宮ブリッツェンはフルスロットルだった。選手たちは想いをひとつにし、チームとして一体感と覚悟を持ってレースに臨んでいた。
それは、グラスに満たされた水が表面張力でなんとかこぼれずにいる状態とも、ピンと張り詰めた糸が切れるギリギリで最大の張力が発揮されている状態とも形容できるだろう。
ギリギリまで自分たちを追い込んで、追い詰めて発揮された力は誰もが目を見はるものがあったし、事実、それが群馬での1-2-3フィニッシュを含む3戦2勝にもつながったと思う。だが同時に、この状態をいつまでも続けられるだろうか?という不安があったことも事実だ。
そして、その不安は現実のものとなった。
Jプロツアー第5戦宇都宮ロードレースでチームは序盤から後手を踏む展開になり、中盤にできた有力選手の先頭集団には西村大輝が一人入るのみ。その西村が冷静に立ち回って4位とシングルリザルトを残してくれたものの、これまでの快進撃を支えてきたチームワークを発揮することはできなかった。
[単騎ながら冷静に立ち回った西村が4位に入り、チームとして最低限の面目をホームレースで保つことはできた]
そうなった要因はふたつある。個人的にはそう感じている。
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