100人以上の選手が一斉にスタートするサイクルロードレースだが、勝者としてその名が刻まれる選手はいつだって1人だ。そして、スタートをする段階からその勝者になる権利を放棄して、チームのエースのために自身を犠牲にして働くことを最大の目標にしている者がいる。
それが、アシストという役割だ。
彼らが目指すのは、自身が先頭でフィニッシュラインを駆け抜けることではなく、エースが誰よりも先にフィニッシュラインを駆け抜けるようにすること。彼らの犠牲があるからエースが勝負どころで輝くことができるし、その先にある勝利はより一層、重みがあるものになる。
ただ時として、そんなアシストに勝利を手にするチャンスが巡ってくることがある。その時にそのチャンスをものにすることができるかどうかは、アシストに徹しながらも自身の勝利の可能性を常に探り続けているかどうかではないかと、取材を続ける中で感じるようになった。
そして、8月30日に広島県中央森林公園で開催された「第54回JBCF西日本ロードクラシックDay-2」での阿部嵩之のJプロツアー6年ぶりとなる勝利は、そんな自分の感覚が裏付けられたものだったと感じている。
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