赤雷通信

2020年10月号 vol.4

JCXナショナルシリーズ開幕

2020年10月24日 13:32 by hattrick_company
2020年10月24日 13:32 by hattrick_company
10月25日(日)に開催される茨城シクロクロス取手ステージから、2020-2021シーズンのJCXナショナルシリーズが開幕する。
 
既に各地でシクロクロスシーズンの幕は開けているが、JCFナショナルランキング対象レースであり日本代表派遣選考の参考レースであるJCXナショナルシリーズには国内トップ選手が顔をそろえることもあり、JCX第1戦となる茨城シクロクロス取手ステージが実質的な開幕戦と言って差し支えないだろう。
 
今季からJCXナショナルシリーズへと名称が変更され、さらなる発展を目指しているところではあるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響は国内シクロクロス界にも及んでいる。
 
11月14日(土)・15日(日)に長野県南牧村の滝沢牧場で開催が予定されていた第3戦と第4戦、そして12月12日(土)・13日(日)に栃木県宇都宮市のろまんちっく村で開催予定だった第6戦と第7戦はそれぞれ中止が発表されており、当初の全9戦から全5戦へと縮小される見込みだ(今後、予定レースが中止になる可能性あり)。
 
中止が発表された4レースはすべてUCI公認レースだったため、国内でUCIポイントを獲得する機会が明らかに減少したことになる。これは、世界選手権でのスタート位置にダイレクトに影響するので、選手たちにとって厳しい状況だと言えるだろう。
 
また、全日本選手権を前に開催されるJCXナショナルシリーズは3レースしかなく、コンディショニングの面でも各選手は苦労することになりそうだ。
 
 
 
 
そんな状況の中で迎える今季のJCXナショナルシリーズ。主役となるのは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)だと予想している。
 
織田はJBCFが主催するJプロツアーでも安定して高レベルな走りを見せ、23歳未満のランキングトップ(全体14位)でシーズンを終え、開幕から一度も譲ることなくネクストリーダージャージを獲得。自らレースを動かそうとする積極性を多くのレースでも見せていて、純粋なフィジカルの面では一歩抜きん出ている印象を受ける。
 
また、今年がU23の最終年ということもあり、目に見える結果を残してステップアップをしたいというモチベーションも高く、JCXナショナルシリーズでも積極的なレースを見せてくれるに違いない。
 
その織田の対抗馬になるのは、チームメートの前田公平か。
 
2018年、2019年と全日本選手権を制している現ナショナルチャンピオンの前田もJプロツアーで安定した走りを見せており、シクロクロスシーズンに向けた準備は万全。全日本選手権3連覇に向け、JCXナショナルシリーズでも確実に勝負に絡んでくるはずだ。
 
 
 
 
現状、個人的には織田と前田の2名がシリーズチャンピオン争いの最有力と予想しており、宇都宮ブリッツェンの小坂光はこの2名に次ぐ立ち位置になってしまっていると感じている。
 
今季の小坂はMTBの活動を取り止め、数シーズンぶりにロードレースとシクロクロスの二刀流に活動を戻した。コロナ禍でロードでのレース活動自体は減ってしまったが、その分、しっかりと距離を乗るトレーニングを例年以上に積めたこともあり、良い状態でシクロクロスシーズンを迎えられるのではないかと思っていた。
 
しかし、8月に行われたバンクリーグ名古屋でフラついて転倒した選手に巻き込まれて落車をしてしまい、筋挫傷のケガを負ってしまうことに。
 
その後、3週間バイクに乗ることができず、9月後半にようやくトレーニングを再開。Jプロツアー大分2連戦と最終戦の経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ、そしてデジタルジャパンカップでレース強度の刺激は入れられたものの、コンディション面ではいささか不安が残る状態だ。
 
 
 
 
そんな状況の中で迎えるJCXナショナルシリーズ第1戦茨城シクロクロス取手ステージは、スピード系コースとして知られる茨城県取手市の小貝川リバーサイドパークが舞台。
 
レースはおそらく、織田と前田の弱虫ペダルコンビが序盤からアグレッシブにレースを進めるハイスピードな展開になることが予想される。小坂としてはこの序盤でオーバーヒートしないように注意しながら、この2名に食らいついていけるかがいきなりの分かれ目になるだろう。
 
序盤でなんとか離されずに食らいついていくことができれば、中盤以降の疲労が溜まった中での駆け引きやテクニックの部分で勝機を見出すことができるかもしれない。
 
小坂にとって開幕戦で勝利を挙げることができるのが理想だが、まずは自身が納得できる走りでレースを終えることができるかが何よりも重要。2017-18シーズン以来となるシリーズチャンピオン獲得、そして2017年以来となるナショナルチャンピオン奪還に向けた戦いが、いよいよ幕を開ける。

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