赤雷通信

2020年11月号 vol.5

「地域創生」を考える

2020年11月13日 15:09 by hattrick_company
11月6日(金)に、日本独自の新たなプロロードレースリーグ「ジャパンサイクルリーグ(JCL)」が2021シーズンからスタートすることが発表された。
 
リリースではリーグ名称と概要、事業内容、加盟チームの発表があったが、レーススケジュールなどの詳細は後日となっており、どのようなレースで何を競うのかという部分に関して論じるのは、諸々の正式発表を待つしかない。
 
ただ、大枠を発表した今回のリリースで、個人的に非常に興味をそそられるワードがひとつあった。
 
それが、JCLもキーワードに設定している「地域創生」という言葉だ。
 
 
 
 
「地方の時代」「地域活性化」「町おこし」「地方創生」などの言葉が盛んに使われるようになってから久しい。東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とする時に使われる言葉たちだ。
 
ただ、地方都市に住んでいる側からすると、どうしてもこれらの言葉だけが一人歩きしている感は否めない。
 
実際、官民問わずに「地方創生」に向けたさまざまな施策が何年にもわたって行われてきたが、その中で成功を収めたと手放しで言えるものは全国的に見ても本当に極わずかで、多くの施策が成功にたどり着かずに終わっている。
 
私自身も、タウン情報誌を発行する出版社で10年弱、情報誌を発行する以外にさまざまなイベントを企画・運営したり、官民協働での施策に参加させてもらったりと、「地方創生」を目指して活動してきた過去がある。
 
また、地域密着型のプロロードレースチーム宇都宮ブリッツェンの外部オフィシャルスタッフとして10年、スポーツでの地方創生という課題に向き合い、取材を重ねてきた。
 
およそ20年にわたり「地方創生」に関連する場に身を置いてきたことになるのだが、はっきり言って成功という判断を下せるものは極端に少ない。
 
「地方創生」とは一筋縄ではいかないと、実感を込めて言える立場なのではないかと思う。
 
 
 
これまで行われてきた施策で成功したと思われるものが少ない理由として個人的に感じているのが、施策を作る側と、当の地方側での意識のズレが大きいからではないか、ということだ。「地方創生」に関する施策が成功かどうかを判断するのは誰なのか?と言い換えても良いかもしれない。
 
これにはさまざまな意見があるとは思うが、私は、判断するのはその地方に住む住民であると考えている。結局、どんな施策を行おうとも、その地方に住む人たちが実感できる「何か」がなければ成功したとは言えないのだと思う。
 
施策を作る側の論理の押し付けでも良くないし、地方側も施策を作る側におんぶに抱っこでもいけない。施策を作る側と地方側が協働できる体制をどれだけ作ることができるかが、「地方創生」の施策を成功に導く第一歩になると感じている。
 
 
 
 
そういう意味で、JCLの「地域創生」というワードを見た時に、なかなかハードルの高いものをキーワードに据えたなと感じた。だが同時に、このキーワードを達成する運営ができれば、間違いなく成功を収めるリーグになるだろうと感じたのも事実だ。
 
今回のリリースでは「地域創生」というワードが記載されているのみで、この部分に関しての具体的な内容は発表されていない。
 
ただ、キーワードに据えているだけあって、単にホームレースを開催するだけでは終わらない施策をきっと考えているのだろうな、と期待している。
 
どんな続報が届けられるのか、楽しみに待ちたいところだ。
 

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