赤雷通信

2020年12月号 vol.6

来年開幕のJCLと、同年開幕のWEリーグとの比較

2020年12月14日 14:46 by hattrick_company
2020年12月14日 14:46 by hattrick_company
来年から開幕することが発表された「ジャパンサイクルリーグ(JCL)」。
 
11月6日にプレスリリースが出て以降、まったく次の情報が出てこないこともあり、国内サイクルロードレースファンの多くの人が続報を待っている状態なのではないかと思う。
 
それは実は我々メディアも同様で、関係各所にヒアリングをして集めた点の情報を、少しずつ積み重ねて線にしている状態だ。だが、いかんせんJCL本体からの公式な情報が先のリリースのみということで、さまざまなことが分からない状況になっている。
 
正直、開幕までおよそ3カ月という状況でこの状態はあまりよろしくないのではないか、というのが個人的見解だ。なので、他スポーツのリーグ発足に向けた動きと比較しながら、現状を洗い出してみたい。
 
 
 
今回参考にするのは、2021年秋の開幕が予定されている日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」の発足に向けた動きだ。
 
<準備段階>
WEリーグ…2019年9月、元サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)監督で日本サッカー協会(JFA)理事の佐々木則夫氏を室長にした「女子新リーグ設立準備室」を立ち上げ検討に入る
JCL…2019年3月、全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)が2021年からスタートさせる予定の新リーグ構想を発表
 
→動き出しの時期としては、ほぼ同じであることが分かる
 
 
<設立発表>
WEリーグ…2020年6月3日 概要に関してはこちら
JCL…2020年11月6日 概要に関してはこちら
 
→設立発表自体は同年だが、若干タイミングが異なると同時に、概要に関してもその詳細に差がある。これには、JCLがJBCFの新リーグ構想から離脱し、独自に動き出したことが関係していると感じている。また、WEリーグに関しては設立発表と同時に入会申請に関する詳細を発表し7月31日に締め切りと、およそ2カ月の入会申請期間を設けた。
 
 
<参入チーム>
WEリーグ…入会申請のあった17団体を、外部有識者も加えた審査選考委員会を設置し、特に財務面を重視して審査。全4回の協議を経て、第5回理事会において推薦11団体の入会を承認。 参入基準や審査結果などの詳細はこちら
JCL…入会申請や基準などに関して、正式な文書は発見できず
 
→WEリーグに入会を希望するチームを持つ団体は、申請を行ったうえで審査を受け、理事会の承認を受けている。一方のJCLは、JBCFのJプロツアーに参戦していた地域密着型チームがメイン。九州地域に立ち上がる新チームの参入情報はあるが、参入を希望したり検討したいというチームや団体すべてに情報が届いていたのかは不明。参入への公平性という面では、いささか不公平な印象を受ける。
ちなみに、WEリーグでは各クラブからリーグに2,000万円の出資金を集めているが、リーグからの配当金が4,000万円出るという報道もある。差額の2,000万円を設備投資費や選手強化費に充てることもできる。もちろんクラブを維持していくにはもっと資金が必要なので各クラブの営業努力は必要になるが、資金的な面でも、少なからず参入するメリットはありそうだ。
 
 
<開幕>
WEリーグ…2021年秋
JCL…2021年3月27日開幕戦予定
 
→WEリーグは参入チーム決定からおよそ1年の期間を空けての開幕であるのに加え、2021年2月〜7月の期間でプレシーズン大会を検討中。プレシーズン大会で実際の運営などをチェックしブラッシュアップしたうえで、本開幕を迎える構えだ。一方、JCLは設立発表リリースからおよそ4カ月での開幕。プレシーズン大会などの予定も発表されておらず、ぶっつけ本番で開幕戦を迎えることになりそうだ。準備期間に関して時間が足りるのか、運営という部分のチェックはしておかなくて大丈夫かなどの不安点は多い。
 
 
 
取り急ぎJCLの現状を、同時期に動き出した女子サッカープロリーグのWEリーグと比較してみた。
 
比較してみて感じるのは、その情報量の差だ。WEリーグに関しての情報はほとんどが公式ホームページに記載されているもので、予備情報がない自分でも、ホームページを見ればリーグの概要がだいたい分かった。また、必要な情報をしっかりとメディアに発信していることで、各メディアが後追いの取材をして記事を掲載しており、上記した出資金と分配金のような情報も簡単に入手できた。
 
逆に、JCLに関しては、やはり情報不足の感は否めない。予定している開幕までの期間を考えても、出せる情報は逐一出していって気運を高めていく必要があるのではないかと感じる。
 
11月6日のリリースによると、12月中にはレースカレンダーが発表になる予定だ。少しでも早い段階での発表に期待したい。

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